副鼻腔炎(蓄膿症)

副鼻腔炎(蓄膿症)とは?

副鼻腔炎とは蓄膿症とも呼ばれる鼻の代表的な疾患で、おでこや頬に空いている空洞、副鼻腔に起こる炎症のことをいいます。副鼻腔は小さな穴で鼻とつながり、換気されています。風邪やアレルギー性鼻炎が続き粘膜が腫れると、この穴が狭くなり、蓄膿症の名の通り、副鼻腔の中に鼻水や膿がたまります。この鼻水はどろっとした黄色や緑色の鼻水で、なかなか鼻をかんでも外へ出てきません。副鼻腔の中の鼻水は夜寝ている間などに、ゆっくりと時間をかけて喉の方へ垂れ込みます。これを後鼻漏と言います。また、副鼻腔炎が悪化すると、炎症が起きている場所に一致して、おでこが痛い、頬が痛いなどの症状が起こり、頭痛や頭重感、ご自分の鼻の中が臭いなどの症状が出ることもあります。炎症が続くと、鼻粘膜にポリープ(鼻茸)ができ、空気の通り道をふさいでしまうため、鼻づまりや嗅覚障害などの原因となることもあります。

主な症状

  • 鼻がつまって苦しい
  • 鼻をかんでもかんでもかみきれない
  • ドロッとした黄色い鼻水
  • 頭痛、頭重を感じる
  • 嫌な臭いを感じる

副鼻腔炎が起こる仕組み

正常な状態では、副鼻腔は、自然孔と呼ばれる小さな穴で鼻腔とつながり換気されています。

炎症が続くと、副鼻腔の粘膜が腫れ、自然孔がふさがれます。

自然孔がふさがると、副鼻腔の中に鼻汁がたまり、換気も悪くなるため、細菌が繁殖します。

細菌が繁殖すると、ますます粘膜が腫れるため、悪循環に陥ります。

診断と治療法

問診を行い、鼻の内部をみます。鼻の通り道は入口から奥まで8cmほどあり、入口からは奥まで見えないので、診察のために細い内視鏡を用います。副鼻腔から出る鼻汁の性状や、鼻粘膜の状態、ポリープ(鼻茸)の有無などをチェックします。また、副鼻腔炎が疑われる場合は耳鼻科用CTで検査を行います。副鼻腔は顔の骨の中にあるので、副鼻腔の中のことはCTを撮らないと分かりません。副鼻腔炎の程度を評価し、治療方針を決定します。

一般的な副鼻腔炎の場合、抗菌薬等の薬物治療を続けます。しかし、中には抗菌薬だけでは治癒しきらない場合もあります。このような場合は、手術をすることもあります。副鼻腔の手術とは、簡単に言うと、副鼻腔の換気を良くするためのものです。副鼻腔と鼻腔の間にある小さな穴がふさがって換気が悪くなっているので、手術で穴を大きくし、空気の出入りが良くなるようにします。また、穴が大きくなれば、副鼻腔の中に膿汁がたまりにくくなり、かつ、生理食塩水で鼻の中を洗う時に、副鼻腔の中までしっかり洗うことができます。

また、普通の副鼻腔炎ではない場合にも手術を行います。例えば、副鼻腔の中にカビが繁殖する副鼻腔真菌症や、腫瘍がきっかけで起こる副鼻腔炎では、薬物では治すことができないので、手術で病因を取り除きます。

好酸球性副鼻腔炎

いわゆる慢性副鼻腔炎はバイ菌が感染し引き起こされるのに対し、好酸球性副鼻腔炎はアレルギー的な機序で引き起こされる副鼻腔炎です。鼻の中に鼻茸がたくさんでき、手術をしても再発する可能性が高い難治性の病気です。ステロイドが有用な治療であることが知られていますが、ステロイドをずっと使い続けることは副作用の点で避けるべきであると思われます。しかし、ステロイドを中止すると、再び鼻茸は大きくなり悪化した状態に戻ってしまいます。2020年デュピルマブ(デュピクセント®)という生物学的製剤が、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対し使用できるようになりました。もともと、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の治療薬として使われていたのですが、既存治療で効果不十分な患者さんに限り慢性副鼻腔炎にも使用できるようになりました。当院でも多数の患者さんに対し、再発した鼻茸の縮小や、気管支喘息の改善のために用いています。

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